RSSIとSNR:電波の強さと聞き取りやすさ
RSSIとSNRは、センサーが送った電波がゲートウェイにどれくらいうまく届いたかを表す2つの数字です。RSSIは電波の「大きさ」、SNRは周りの雑音と比べた「聞き取りやすさ」を表します。
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にぎやかなパーティー会場で、離れた席の友人があなたの名前を呼んでいる場面を想像してください。
その声が聞こえるかどうかは、2つのことで決まります。1つ目は、声があなたに届いたときの大きさです。隣のテーブルからの声は大きく、会場の端からの声は小さく聞こえます。2つ目は、会場の騒がしさです。静かな図書館なら小さな声でも聞き取れますが、すぐ横でバンドが演奏していれば、大きな声でもかき消されてしまいます。
CropWatchのセンサーとゲートウェイの関係もこれと同じです。センサーが友人、ゲートウェイがあなた、電波が声にあたります。
- RSSI:届いた声の大きさ
- SNR:周りのざわめきと比べて、声がどれくらい目立つか
RSSIは Received Signal Strength Indicator(受信信号強度) の略です。単位はdBm(デービーエム)で、LoRaWANではほとんどの場合、-75や-112のようなマイナスの数字になります。
RSSIは0に近いほど電波が強いという意味です。気温の-5 °Cが-20 °Cより暖かいのと同じで、-70は-100より強い電波です。
この数字は、目盛りが均等ではありません。10下がるごとに電波の強さは10分の1になるので、-100は-70の1,000分の1の強さです。大きな差に見えますが、LoRaの無線機はとても弱い電波を聞き取れるように作られていて、ゲートウェイは-130前後の電波でもデータを受け取れます。
LoRaWANでのおおよその目安は次のとおりです。
- -30〜-90:強い。センサーが近いか、ゲートウェイまで見通しがよい状態です。
- -90〜-110:良好。ある程度離れたセンサーでは普通の値です。
- -110〜-120:弱い。それでも多くの場合、データは届きます。
- -120より下:限界に近い状態です。届かないデータが出てくることがあります。
SNRは Signal-to-Noise Ratio(信号対雑音比) の略です。センサーの電波と、ゲートウェイの周りにある電波の雑音(モーター、電線、インバーター、その他の電子機器から出るノイズや、常にあるかすかな雑音)を比べた数字で、単位はdBです。
- プラスのSNR(例:+8)は、電波が雑音より大きいことを表します。
- SNRが0のときは、電波と雑音が同じくらいの大きさです。
- マイナスのSNR(例:-12)は、電波が雑音より小さいことを表します。
LoRaは、雑音のほうが少し大きい状況でもデータを拾い出すことができます。ざわめきの中でも、聞き慣れた友人の声なら聞き分けられるのと似ています。センサーの送信の速さによっては、-7.5 dBや、ときには-20 dBでも受信できることがあります。
ただし「受信できることがある」だけでは、頼りにしているセンサーには不十分です。その水準では余裕がまったくありません。ポンプが動き出したり、朝露で周りが濡れたりして雑音が少し増えるだけで、データが届かなくなり始めます。そのためCropWatchでは、より厳しい基準を使っています。
- 0より上:良好。電波が雑音よりはっきり目立っています。
- 0〜-4:許容範囲。電波は雑音より少し小さいものの、データは安定して届きます。
- -4より下:悪い。今はデータが届いていても通信が不安定なので、対策が必要です。
CropWatchでは、SNRが-4を下回ると「悪い」と判断します。
どちらか一方の数字だけでは、状況の半分しかわかりません。例を2つ挙げます。
- 大きいけれど、うるさい。ゲートウェイから20 mのセンサーで、RSSIは-65と強い値です。ところがゲートウェイの横に大きなポンプのモーターがあり、SNRは-9です。友人は大声で呼んでいるのに、すぐ横でバンドが演奏しているような状態です。
- 小さいけれど、静か。ゲートウェイから3 km離れた畑のセンサーで、RSSIは-118と弱い値です。周りに電気的な雑音がほとんどないため、SNRは+2です。友人はささやき声ですが、会場はしんとしている状態です。
電波はずっと弱くても、2つ目のセンサーのほうが通信状態はよいのです。1つ目のSNRの-9は、CropWatchの基準である-4を大きく下回っています。データが届かないときは、何を変えるか決める前に、両方の数字を確認してください。
CropWatchでは、2つの場所でこれらの数字を確認できます。
ゲートウェイのページ。「ゲートウェイ」を開き、ゲートウェイを選びます。表には、そのゲートウェイが受信しているすべてのデバイスについて、RSSI(dBm)、SNR(dB)、電波強度のバー、最後に受信した時刻が表示されます。1台のゲートウェイと、そこにつながるセンサー全体の状態を見たいときに便利です。
デバイスのページ。デバイスを開き、「電波強度」ボタンを押します。ボタン自体には、いちばん状態のよいゲートウェイとの電波強度がバーで表示されます。押すと「接続ゲートウェイ」が開き、そのデバイスを受信したすべてのゲートウェイについて、RSSI、SNR、電波強度のバーが表示されます。1台のデバイスが複数のゲートウェイに届いていることもよくあります。アクセス権のないゲートウェイは「その他のゲートウェイ」と表示されます。
電波強度のバーは2つの数字を両方見て、悪いほうに合わせて表示されます。そのため、RSSIが強くてもSNRが悪ければ、バーは少なくなります。
RSSIが低い場合は、電波が届くまでに弱くなりすぎています。電波が通りやすくなるようにしましょう。
- ゲートウェイやアンテナを高い位置に設置します。屋根や木より高いのが理想です。
- センサーとゲートウェイの間の障害物を減らします。壁、金属製の小屋、丘、濡れた葉はどれも電波を吸収します。
- センサーとゲートウェイの距離を縮めるか、ゲートウェイをもう1台追加します。
RSSIは十分なのにSNRが低い場合は、ゲートウェイの近くの雑音が原因です。ゲートウェイやアンテナを、モーター、ポンプ、インバーター、LED照明の電源、電力ケーブルから離してください。
設置場所について詳しくは、通信距離を左右するものと設置場所の選び方をご覧ください。