土壌水分の見方:VWCと飽和度の違い
土の中にどれくらい水があるかを表す方法には、いくつか種類があります。
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農業でよく使われるものに、次の2つがあります。
- VWC(体積含水率)
- 土壌の飽和度
どちらも土の水分を表す数字ですが、見ているものは少し違います。まずは、次のように考えるとわかりやすくなります。
- VWC:土全体の中に、どれくらい水が入っているか
- 飽和度:土のすき間が、どれくらい水で満たされているか
土は、砂や粘土などの粒がぎっしり詰まっているように見えます。しかし実際には、土の粒と粒の間にはたくさんの小さなすき間があります。そのすき間には、次のものが入っています。
- 水
- 空気
植物の根は、この土の中にある水を吸収して育ちます。VWCと飽和度は、どちらもこの水分を表しますが、どこを基準にするかが違います。
VWCは、Volumetric Water Content の略で、日本語では体積含水率と呼ばれます。簡単に言うと、次のことを表した数字です。
土全体の体積のうち、何%が水なのか
例えば、1リットル分の土の中に200mLの水が含まれていたとします。この場合、VWCは20%です。つまり、次のような意味になります。
VWC 20% = 土全体の体積の20%が水
飽和度は、次のことを表します。
土の中にある「すき間」のうち、どれくらいが水で満たされているか
土の粒そのものは数えず、水や空気が入ることのできるすき間だけを見ます。例えば、1リットルの土の中に、次のものがあるとします。
- 土の粒:600mL
- すき間:400mL
その400mLのすき間のうち、200mLに水が入っている場合、飽和度は50%です。同じ土のVWCは20%ですが、飽和度は50%になります。
先ほどの例をまとめると、土全体の1,000mLの内訳は次のとおりです。
- 土の粒:600mL
- 水:200mL
- 空気:200mL
この場合、次のようになります。
- VWC:20%
- 飽和度:50%
理由は簡単です。VWCは土全体を基準にしています。飽和度は土のすき間だけを基準にしています。
土をスポンジに置き換えて考えてみましょう。スポンジには、たくさんの穴があります。その穴には水をためることができます。
- VWC:スポンジ全体のうち、どれくらいが水なのか?
- 飽和度:スポンジの穴が、どれくらい水で満たされているのか?
という違いです。スポンジの穴がすべて水で満たされていれば、飽和度は100%です。しかし、スポンジそのものが水になったわけではありません。そのため、次のようにはなりません。
飽和度100% = VWC 100% ではありません。
飽和度100%とは、次のような状態です。
土のすき間がすべて水で満たされ、空気がほとんど残っていない状態
雨が大量に降った直後や、水はけの悪い場所などで起こることがあります。この状態では、土の中にある空気が少なくなるため、作物によっては根が酸素不足になることがあります。
つまり、飽和度は、土がどれくらい水でいっぱいになっているかを見るのに便利な数字です。
土の種類によって、土の中にあるすき間の量は違います。例えば、次のような土では、水の入り方や保持のされ方が違います。
- 砂の多い土
- 粘土の多い土
- 有機物の多い土
- 畑の土
- 培土
そのため、同じVWCが30%だったとしても、土によって「かなり湿っている」場合もあれば、「まだ水を保持できる」場合もあります。
数字を見るときは、土の種類と合わせて考えることが大切です。
どちらが優れているというより、知りたいことによって使い分けます。
- 土の中にどれくらい水がある? → VWC
- 土のすき間がどれくらい水で満たされている? → 飽和度
- 灌水後に土の水分がどれくらい増えた? → VWC
- 土が水でいっぱいになりすぎていない? → 飽和度
- 日ごとの土壌水分の変化を見たい → VWC
- 排水不良や過湿状態を確認したい → 飽和度
普段の栽培管理では、VWCのほうが「土の中にどれくらい水があるか」を直接確認しやすいため、灌水管理に使いやすい指標です。一方、飽和度は、土が水で満たされすぎていないかを見るときに役立ちます。
例えば、VWCを継続して測定すると、次のように変化していきます。
- 朝:VWC 28%
- 昼:VWC 25%
- 夕方:VWC 22%
- 灌水後:VWC 31%
これを見ることで、「植物が水を使って土が乾いてきた」ことや、「灌水によって土の水分が増えた」ことがわかります。このような変化を見るには、VWCがとても便利です。
一方、雨が続いたときなどに飽和度が非常に高い状態が続いていれば、「土の中のすき間が水で埋まり、空気が少なくなっている可能性がある」と考えることができます。
ここも大切なポイントです。VWCが高ければ、必ず植物にとって良いというわけではありません。土の種類によっては、水がたくさんあっても植物が吸収しにくいことがあります。反対に、VWCが比較的低くても、植物が十分に水を利用できることもあります。
そのため、VWCや飽和度は、土の水分状態を知るための目安として使います。
植物の状態、土の種類、天候、灌水量などと合わせて見ることで、より適切な判断ができます。
VWCと飽和度の違いは、難しく考える必要はありません。まずは次の2つを覚えておけば十分です。
- VWC = 土全体の中に、どれくらい水が入っているか
- 飽和度 = 土のすき間が、どれくらい水で満たされているか
例えば、VWC 20%でも、飽和度 50%ということは普通にあります。また、飽和度100%でも、VWCが100%になるわけではありません。
農業で日々の土壌水分や灌水の変化を見る場合は、VWCが特にわかりやすい指標です。飽和度は、土が水で満たされすぎていないか、排水がうまくできているかを見るときに役立ちます。
2つの意味を正しく理解することで、土の中で水がどのような状態になっているのかを、よりわかりやすく把握できるようになります。